Assessing State-Specific Accuracy of Cofolding Models for Kinases and GPCRs
Obendorf, Doering, Knaus, Wolber — Freie Universität Berlin | bioRxiv 2026 | DOI: 10.64898/2026.05.06.723350
🎯 コフォールディングモデル(AF3/Boltz-2/Chai-1/RF3)は
リガンド配置は正確でも機能状態(DFG・ICL3)を頻繁に誤予測することを実証
① 背景と課題

AlphaFold3等のコフォールディングモデルはリガンド-タンパク質複合体予測で急速に普及しているが、キナーゼ・GPCRのような状態依存タンパク質において、正確な機能状態(DFG-in/out、active/inactive ICL3)が再現されるかどうかは未検討だった。

PoseBusters等の既存ベンチマークはligand RMSDと幾何学的妥当性のみを評価 → 機能状態の正確性は見過ごされていた
学習データの頻出コンフォメーションへの過剰適合により、希少・変異依存・アロステリック状態が再現されない

→ GPCRdb/KLIFSのstate annotation活用、学習データ締切後のprospective評価で根本的問題を特定

② 手法: ベンチマーク設計
キナーゼ4系統
LRRK2・ALK2×2・PI3Kα-H1047R

GPCR 3系統
5-HT2A(inactive)・A2A(active)・DOR(biased)

4モデル × MSA/Template条件の組み合わせ

Ligand RMSD + State-defining geometry評価

GPCRdb・KLIFSからstate-filtered PDBを取得し、shallow MSA + state-annotated templateを組み合わせて入力バイアスを設計

③ 本研究で示したこと
  • Conformational decoupling:低ligand RMSDでも機能状態マーカーは頻繁に誤予測
  • アロステリックポケット(PI3Kα cryptic)への配置は全モデル・全設定で不可能
  • GPCR活性状態ICL3は全モデルで不活性様配置が優勢
  • Ligand pLDDT(r=−0.46)が唯一の有用な信頼指標。Protein pLDDTは無相関(r=+0.04)
  • AF3が全体的に最良。Boltz-2は変動大、Chai-1はGPCRで最不安定
④ 主な結果 (a) モデル別 Ligand RMSD比較(キナーゼ系)
0 1 2 3 0.57 0.58 0.42 1.20 AF3 Boltz-2 Chai-1 RF3 ALK2+RK783 Ligand RMSD (Å) ※ biased inputs使用時のbest model 1.0Å

全モデルでオルソステリックリガンドのRMSD < 1.0Åを達成(biased inputs時)。ただし低RMSDが機能状態の正確さを保証しない。

④ 主な結果 (b) pLDDTとリガンドRMSDの相関
Ligand pLDDT (→ high = confident) Ligand RMSD (Å) 0 1 2 40 70 100 r = −0.46 (ligand pLDDT) Protein pLDDT: r = +0.04 (無相関)

Ligand pLDDTのみがポーズ精度と有意な相関を示す。Protein pLDDTは使用不可。RF3のligand pLDDTは固定値1.0。

④ 主な結果 (c) コンフォメーション状態回復まとめ
標的Ligand RMSDState回復Best Model
LRRK2+RN277✅ <0.8Å❌ Y2018配向 誤AF3 (biased)
ALK2+RK783✅ <0.8Å⚠ ethyl基向き不定AF3 (biased)
PI3Kα allosteric❌ ATPsite配置❌ 全モデル失敗N/A
5-HT2A (inactive)✅ ほぼ正確✅ ICL3比較的良好複数
A2A (active)✅ ほぼ正確❌ ICL3 inactive様Boltz-2 (base)
DOR (biased ag.)⚠ 一部ずれ❌/✅ AF3のみ一部回復AF3 (custom)

オルソステリックリガンド配置はrobust、アロステリック・活性状態ICL3は全モデルで課題

④ 主な結果 (d) MSA/Template バイアスの効果
バイアス条件別 改善効果 no bias template MSA+tmpl AF3 Boltz-2 Chai-1 RF3 崩壊 ◎=最良 ○=良 △=普通 ✗=不良 崩壊=RMSD>17Å
⑤ テイクホームメッセージ
  • コフォールディングの「Conformational Decoupling」:低ligand RMSDは機能状態の正確さを保証しない
  • AF3 + state-annotated template + shallow MSAの組み合わせが全体最良。ただし効果はターゲット依存
  • アロステリックポケットへの配置は現行モデルの根本的限界 → MD-based cryptic pocket detectionとの併用が必要
  • Ligand pLDDT (r=−0.46) を信頼スコアとして利用可能、Protein pLDDTは無用(r=+0.04)

創薬パイプラインへの示唆:GPCRdb/KLIFS連携のstate-biased cofolding → ドッキング初期構造生成 → Ligand pLDDTによる自動ポーズ選別 → MD検証

⑤ 計算創薬への応用(ケムインフォマティクス視点)

lib/docking: GPCRdb/KLIFS APIからstate-filtered templateを自動取得し、AF3コフォールディングをUniDockRunnerの前段処理として組み込む。Ligand pLDDTをポーズランキングスコアとして実装。

lib/md: コフォールディング予測構造のICL3幾何学・DFGモチーフをRMSDAnalyzerで自動評価し、MD初期構造として適切か判定するパイプラインを構築。

未実装ギャップ: state-annotated template取得・ICL3/DFG自動評価・アロステリックグリッド生成・ligand pLDDTポーズランキング