Enhanced Sampling of Protein Conformations in AlphaFold3 with Repulsive Bias in the Diffusion Generative Model
AF3-ReD: 拡散脱ノイズ過程へメタダイナミクス由来のRMSD反発バイアスを注入し、再訓練なしで多状態コンフォメーションを予測 — Ohnuki & Okazaki (IMS/NINS)
🎯 AF3が捉え損ねるリガンド誘起のclosed/occluded状態を、拡散をMDと見立てた反発バイアスで、計算コストをほぼ増やさず予測する。
① 背景と課題

AF3は単一構造予測に強いが、機能発現に伴うコンフォメーション変化の予測は苦手で、リガンドを明示入力してもclosed/occluded状態を出さない。拡散の脱ノイズはBoltzmann分布を仮定するとエネルギー地形 −∇E に沿ったMD的サンプリングに等しく、AF3の偏りはMDのrare-event問題と同型。

AF3は学習分布の偏りで別ベイスンを訪れにくい(最頻のopen状態に固着)
MSA subsamplingは共進化偏りしか緩和できず、効果が系依存(輸送体で弱効)
大規模なドメイン回転(複合体)は依然未解決

→ MDの拡張サンプリング(metadynamics)を拡散生成器へ移植する

② 手法の概要: AF3-ReD
AF3-ReD: 脱ノイズ過程に RMSD 反発バイアスを注入(再訓練不要)AF3 inputsseq+ligand+MSAScore s(X;σ)= -∇E (式2)Denoise stepX+η[F_AF3+F_REP]FinalstructureRepulsive biasV=w·Σe^(-R²/2σ²)History Xf(RMSD CV)

既出構造とのCα-RMSD(CV)からガウス反発V=w·Σe^(−R²/2[σ+(tmax−t)]²)を構成(式4)。力は±10 Cαで平滑化(式5)、X+η[F_AF3+F_REP]Δt で更新(式6,η=1.5,tmax=160)。pLDDT>60原子のみ・第1シードからRMSD<0.5Åの集合にのみ印加。再訓練不要

③ 本研究で示したこと
  • 拡散脱ノイズをMDと解釈し、metadynamics様反発を推論時に注入できる
  • TF1β・OxlT・NarKでAF3/既存法が出せないligand-bound状態を予測
  • 計算コストはほぼ不変(100構造で12m13s→12m24s, +1.5%)
  • MSA subsamplingより少数生成で高diversity・高coverageを両立
④ 主な結果 (a) サンプリング多様性
2.6MSA d=128 (単独)5.1MSA 128-16k5.4AF3-ReD σ2,w90TF1β 相対 diversity (cov.=0.98)
④ 主な結果 (b) 計算コスト
733AF3744AF3-ReD100構造生成 計算時間 [秒]
④ 主な結果 (c) TF1β構造分布
openclosedRMSD to closed →RMSD to open →TF1β(+ATP) コンフォメーション分布
④ 主な結果 (d) 標的状態の到達可否
標的状態AF3既定MSA subsamp.AF3-ReD
TF1βclosed (ATP)×○ (~2Å)
OxlToccluded××○ (MD域と重複)
NarKoccluded××○ (MD/結晶近傍)
CRBN-DDB1open (>10Å)×△低pLDDT△ (5Å未満届かず)
⑤ テイクホームメッセージ
拡散=MDの視点
スコア=−∇E の等価性から、脱ノイズへ外力(反発)を加える発想が成立。
RMSDという単純CV
構造類似度だけで反発を定義し、再訓練なしに多様化を実現。
系非依存の有効性
共進化+拡散モデル双方の偏りを緩和し、輸送体でもoccludedに到達。
残課題は大変化
CRBN-DDB1のドメイン回転(>10Å)は5Å未満に届かず。CV再定義が今後。
既存法との比較
観点MSA subsamplingAF3-ReD (本研究)
緩和する偏り共進化由来のみ共進化+拡散モデル由来
系依存性強い(輸送体で弱効)低い(全系で有効)
再訓練不要不要
計算コスト~同等ほぼ不変(+1.5%)
多様性効率多depth合算が必要少数生成で高多様性
本研究のインパクト
  • 他の拡散ベース生成器(蛋白質設計・配座生成)へ反発機構を横展開できる汎用戦略
  • 得られる中間構造はMSM/遷移経路サンプリングのMD出発点として利用可能
  • 創薬: 薬物誘起コンフォメーション変化の探索に直接応用しうる