MolDockLab: a data-driven workflow for balanced consensus docking in hit identification
Ibrahim, Volkamer et al. — Saarland Univ. / HIPS (ChemRxiv 2026) | DOI: 10.26434/chemrxiv.15001617
🎯 SBVSのドッキングエンジン・SF・コンセンサス戦略を実験データドリブンで自動最適化し、ヒット発見率を向上
① 背景と課題

SBVSは創薬の重要ツールだが、無数のドッキングツール・スコアリング関数・コンセンサス戦略のどの組み合わせが最適かは標的依存的で事前に判断できない。経験的選択では最適パイプラインを見逃すリスクがあり、再現性も低い。

単一ドッキングエンジンのnaïveベースラインはEF₁₀%<0.7と低性能(最適化前のDiffDockデフォルトSF使用時)
膜埋め込み暗号結合部位や共結晶化リガンドのない難易度の高い標的では一般的手法が破綻しやすい
② MolDockLabワークフロー
キャリブレーションセット (~200化合物・実験活性付き)

5エンジン × 15SF × 3コンセンサス → 全組み合わせ評価

Spearman相関最大のパイプライン選定

大規模ライブラリ (数千〜数万) スクリーニング

PLIP相互作用FP + 多様性フィルタ → トップ1%絞り込み
③ 5エンジン・15SF・3コンセンサス
カテゴリツール/手法
DLドッキングDiffDock (拡散モデル)
古典ドッキングPLANTS, FlexX, SMINA, GNINA
ML-SFRTMScore, SCORCH, RFScoreV2, CNNaff
経験的SFCHEMPLP, HYDE, AD4, Vinardo, ...
コンセンサスZ-Score, RbR, ECR (指数型)

ρ>0.9のSFペアは冗長として除去しコンビナトリクスを削減

④ 主要結果 (a) EGFR後向き検証

EGFRスクリーニングセット(5,991化合物)のEF₁₀%比較

EF=1.0 Naïve Corr-select EF-select 0.69 1.573 1.057 EF₁₀%(高いほど良い)
④ 主要結果 (b) ECF-T前向き検証

難易度高:膜埋め込み暗号結合部位・共結晶化リガンドなし

Spearman相関 0.45 EF₁₀% 3.13 ✓ → in vitro確認2化合物(既知最強阻害剤に匹敵)
④ 主要結果 (c) パイプライン選択の優位性
パイプラインSpearman ρEF₁₀%
Naïve (DiffDock default)-0.1350.69
EF-select0.1921.057
Corr-select ✓0.3551.573

キャリブレーション相関最大化がスクリーニングセットでの汎化性を保証

④ 主要結果 (d) SF冗長性除去の効果

スコアリング関数の多様性と冗長性管理

15 → 数SF削減
ρ>0.9ペアを自動除去(冗長性削減)
3手法
Z-Score / RbR / ECR コンセンサス比較

ECRはエンリッチメント志向、RbRはロバスト志向として異なる特性を持ち、標的に応じて使い分けが重要

⑤ テイクホームメッセージ
🔧 自動パイプライン最適化
~200化合物の実験データから最適な(エンジン, SF, コンセンサス)組み合わせを自動選定。経験則に頼らない再現性の高いSBVS。
🎯 難易度標的でも有効
膜埋め込み暗号部位・共結晶化なしのECF-TでEF₁₀%=3.13。in vitro確認2化合物を発見し、実用的ヒット発見能力を実証。
📊 相関指標の転移性
キャリブレーションセットでのSpearman相関がスクリーニングセットでの性能に信頼性高く反映されることを実証。EF指標より相関指標が汎化性が高い。
🧩 PLIP後処理との統合
タンパク質-リガンド相互作用フィンガープリントと多様性評価を組み合わせた後処理でトップ候補をさらに絞り込み。
ケムインフォマティクスへの応用
適用先ユースケース
lib/dockingUniDockRunnerへのコンセンサス最適化統合
lib/dockingProLIFCalculatorにPLIP後処理を追加
lib/dockingPoseBusters品質チェックの自動統合

既存lib/dockingを拡張し、「5エンジン並列実行→SF最適化→ECRコンセンサス→PLIP絞り込み」のフルパイプラインを構築可能

本研究のインパクト
  • SBVS最適化の自動化・再現性の確立
  • 暗号結合部位などの難標的でのヒット発見を実現
  • コード・データ公開でSBVSベンチマーク基盤を整備