ReqVS: Reliable Sequence-Based Virtual Screening via Interaction Entropy
Jiang, Li et al. — ResearchSquare 2026 (East China University of Science and Technology)
🎯 配列情報のみで3D構造不要のバーチャルスクリーニングに「信頼性」を付与し、HCAR1初拮抗薬をIC50=2.5µMで実験検証
① 背景と課題

SeqBVS(配列ベースVS)はタンパク質の3D構造が不要で大規模スクリーニングに有利だが、配列から構造依存のインタラクションを推定する際に固有の不確実性が生じる。

単一SeqBVSモデルは偽陽性が多く、ウェット実験での検証成功率が低い
複数モデルのランキングが大きく乖離し、再現性・信頼性が低い

→ 配列由来の不確実性を「インタラクションエントロピー」として定量化し、信頼性考慮ランキングを行うReqVSを提案

② ReqVSフレームワーク概要
タンパク質配列 + 化合物ライブラリ
↓ 8種の異種SeqBVSモデルで予測
↓ Softmax確率化 → エントロピー計算
↓ score = interaction_score - λ×entropy
↓ 信頼性考慮ランキング → Top候補
8モデル
DTI(CNN/GCN/PSICHIC等)+DTA(GraphDTA/Uni-Mol/Ankh等)混合
③ 本研究の主要成果
  • DUD-E 102ターゲットで全評価指標1位(EF0.5%=34.29、BEDROC=0.459)
  • DEKOIS2.0 81ターゲットでも全評価指標1位(EF1%=18.69、AUROC=0.825)
  • HCAR1への適用でcpd60(IC50=2.5±1.2µM)を同定 — 初の配列ベース拮抗薬
  • 8候補の阻害率とReqVSランクが高相関(Pearson r=−0.774)
④ 主な結果 (a) DUD-E ベンチマーク比較(EF0.1%)
0 20 40 55 42.65 ReqVS 33.02 ColdStart 27.1 GraphDTA 35.2 Glide SP (SBVS) 23.4 PSICHIC

DUD-E EF0.1%(mean)比較。ReqVSは最良単一SeqBVSモデル比+29.2%

④ 主な結果 (b) アブレーション:エントロピー効果(BEDROC)
0 0.2 0.4 0.5 DTI DTA 0.459 Hybrid エントロピーあり エントロピーなし いずれもエントロピー導入で改善
④ 主な結果 (c) HCAR1スクリーニング成果

10M化合物 → ReqVS → Top1000 → 専門家フィルタ(-COOH/-OH)→ 8化合物実験検証

IC50 = 2.5 µM
cpd60(Top1位)— GloSensor cAMP+HTRF cAMP 両アッセイで確認
r = −0.774
ReqVSランク vs 8化合物阻害率のPearson相関
HCAR1は2025年にColorectal Cancer新規標的として同定された新規GPCR。構造情報がほぼ存在しないため、配列ベースのReqVSが特に有効
④ 主な結果 (d) Top-10活性化合物の平均ランク比較
0 50 100 125 52.8 ★Best ReqVS 73.2 ColdStart 89.4 GraphDTA 98.1 PSICHIC 110.5 Uni-Mol 平均ランク(低いほど良い) Top-10活性化合物
⑤ テイクホームメッセージ
🔬 構造不要で実用的VS
配列のみで10M化合物をスクリーニングし、実験検証済みヒットをTop1で発見。新規GPCR等の構造情報乏しいターゲットに有効。
📊 エントロピーで偽陽性削減
異種モデルアンサンブルの「意見不一致」をエントロピーとして定量化し、高スコアでも不確実な化合物を排除。Top-10ランク約28%改善。
SBVS並みの精度
DUD-EでGlide SPに匹敵するEF達成。構造計算コスト不要で同等の early enrichment を実現。
🔗 lib/dockingへの拡張
UniDockRunnerの後段にSeqBVSモードとして追加可能。構造ベースと配列ベースの2段階フィルタで信頼性向上。
ケムインフォマティクスへの応用
適用先ユースケース
lib/dockingUniDockRunner後段のSeqBVS 2次フィルタ統合
lib/docking構造未解明ターゲット向け配列ベーススクリーニングモード
lib/molgenMolgenYamlのpost-scoringにReqVSスコア追加

エントロピー指標を実装すれば既存UniDockスコアに対するバイアス補正フィルタとして即活用可能

限界点・今後の課題
8モデルのChEMBL36学習コスト高 → 推論効率化が産業応用の鍵
アロステリック結合・構造変化依存ターゲットへの適用は依然困難
HCAR1実験検証はn=8のみ — 統計的検出力の制限あり
実装コードの公開なし(preprint段階)