KKL-35: Novel CNDP2 Inhibitor Identified by In Silico Screening + MD + MM-PBSA
Smina VS → GROMACS MD → gmx_MMPBSA → ADMET → in vitro検証(bioRxiv 2025, Homma, Shinbara, Osaki)
🎯 がん代謝酵素CNDP2の新規阻害剤KKL-35をin silicoパイプラインで同定し、ウェットラボ検証で確認する
① 背景: CNDP2とがん代謝

CNDP2はGSH合成に必要なCys–Glyの加水分解酵素で、細胞内システイン供給を維持する。各種がん(卵巣・結腸・肺・喉頭)で過剰発現し、酸化ストレス耐性・腫瘍増殖を促進する創薬標的。グルタミン枯渇下でも細胞外ペプチドから遊離グルタミンを供給する「栄養リサイクル」機能も持つ。

唯一の既知阻害剤bestatin(BES)は広域ペプチダーゼ阻害剤 → 選択性不足・TPSA高・多回転結合で薬物動態不良
CNDP2専用の選択的阻害剤が存在しない → 新規スキャフォールドの探索が急務

→ Smina VSスクリーニング + MD安定性 + MM-PBSA + ADMET の4段階in silicoパイプラインで候補を絞り込み

② In Silico スクリーニングフロー
CNDP2 (PDB: 4RUH, Mn²⁺保持)
↓ Selleckchem ライブラリ前処理 (Ro5 + PAINS + MMFF94最適化)
↓ Smina ドッキング (グリッド15 Å, exhaustiveness=8)
↓ Top hits → KKL-35 (–11.20 kcal/mol) ≈ BES (–11.40 kcal/mol)
↓ 100 ns MD (GROMACS 2024 / ff14SB+GAFF+TIP3P)
↓ MM-PBSA (gmx_MMPBSA) + ADMET (SwissADME/pkCSM)
↓ in vitro CNDP2阻害アッセイ (LC-MS/MS)
③ KKL-35 vs BES 比較
指標KKL-35BES
ドッキングスコア–11.20 kcal/mol–11.40 kcal/mol
MM-PBSA ΔG_bind–10.05 kcal/mol–22.59 kcal/mol
in vitro IC50~100 μM~1 μM
TPSA68 Ų ✓112 Ų ✗
回転結合数4 ✓9 ✗
LogP3.44 ✓0.79
合成容易性2.64 ✓3.10
④ 結合モード(ドッキング)

共通結合ポケット: Tyr197 / Gly416 / His380(chain A)

相互作用BESKKL-35
H-bond残基Tyr197, Glu166, Ser417, Arg343 (A), Thr330, His288 (B)Glu166, His380, Arg343, Ser417 (A), His228 (B)
Mn²⁺配位Mn502: 不利, Mn503: 安定Mn502: 安定, Mn503: 不利
追加相互作用Mn²⁺直接配位π-π interaction (His380, His228)
④ MD安定性(100 ns)
CNDP2–BES
RMSD 2–3 Å (安定) · H-bond ~6本 (持続的) · RoG コンパクト
CNDP2–KKL35
RMSD 40 ns以降に6–7 Åに増大 (結合モード変化) · H-bond 少・トランジェント

KKL-35はRMSF・RoGでもより大きな揺らぎ → MD安定性の差がIC50の差と整合

④ MM-PBSA エネルギー分解
項目KKL-35BES
ΔG_bind–10.05–22.59 kcal/mol
ΔG_vdW有利有利
ΔG_elec–29.32–92.73 kcal/mol
ΔG_polar小ペナルティ ✓+109.15 kcal/mol
ホットスポット残基GLY169, GLY415, SER417, ILE213, ILE418

KKL-35: GLU167 (+4.18)で不利寄与。BES: 強い静電引力が脱溶媒和コストで相殺。

④ ADMET プロファイル
  • Lipinski/Ghose/Veber/Egan/Muegge 全ルール適合
  • BBB透過あり(BESはなし) → CNS適用可能性
  • P-gp非基質 → 高い経口バイオアベイラビリティ
CYP1A2/2C19阻害が予測 → 薬物相互作用リスク
溶解性は中程度 → 製剤工夫が必要な可能性

SwissTargetPrediction: BESはプロテアーゼが66.7%。KKL-35は高確率ターゲットなし → 選択性向上の可能性

⑤ テイクホームメッセージ
🎯 KKL-35: 薬物動態優先のリード
IC50 ~100 μMと低力価だが、TPSA・回転結合・LogP・合成容易性すべてでBESを上回る。最適化の起点として明確な優位性。
🔥 ホットスポット = リード最適化指針
GLY169/SER417/ILE213/ILE418が共通安定化残基。Tyr197・His380・Arg343への相互作用強化がKKL-35活性向上の設計方針。
⚗️ MM-PBSAが力価差を予測
ΔG_bind: KKL-35 –10.0 vs BES –22.6 kcal/mol。in vitro IC50の2桁差と定性的に一致。計算化学パイプラインの予測精度を実証。
🔧 実装優先: MM-PBSA + gmx_MMPBSA
lib/fepのMMGBSAEngineにMM-PBSA変種を追加。残基デコンポジション機能でホットスポット同定を自動化できる。
ケムインフォマティクスへの応用
適用先ユースケース
lib/fepgmx_MMPBSA連携によるMM-PBSA実装(残基デコンポジション含む)
lib/dockingSmina/AutoDock Vinaバーチャルスクリーニングパイプライン整備
lib/mdRoG (慣性半径) 解析のMDAnalysis実装追加
lib/dockingMMFF94配座最適化 + Ro5/PAINSフィルタの標準前処理

ACPYPEによるGAFFパラメータ生成をパイプラインに組み込むことで、GROMACS系MDのリガンドパラメータ自動化が実現

本研究のインパクト
  • CNDP2(がん代謝・抗酸化防御)の初の選択的阻害剤候補KKL-35を同定
  • Smina→MD→MM-PBSA→ADMET→in vitroの統合ワークフローで予測と実験が一致
  • 残基レベルデコンポジションが次世代誘導体の合理的設計指針を提供