ERA: An AI System to Write Expert-Level Empirical Software
Aygün, Belyaeva, … Brenner — Nature (2026) Accelerated Article Preview | DOI: 10.1038/s41586-026-10658-6 | Google Research / DeepMind
🎯 LLM+ツリー探索で「品質スコアを最大化するコード」を自動生成。多様な科学問題で公開リーダーボードの人間最高記録を更新
① 背景と課題

科学の発見サイクルは、計算実験を支える empirical software(測定可能な品質スコアを最大化するソフト)の手作業による開発で律速される。ドメイン固有ソフトは何年もかけて職人的に書かれ、代替アプローチの体系的探索はほとんど行われない。設計は直感や便宜で決まりがちで、網羅的な実験は時間的制約から困難である。

empirical software は DFT・分子動力学・タンパク質構造予測など複数のノーベル賞を支えてきたが、その作成自体が遅く難しい
「最良の解を体系的に探す」工程が人手では現実的でない

→ ソフト作成を「品質スコアを最大化するプログラムの探索(scorable task)」に再定式化し、LLM+ツリー探索で自動化

② ERA 手法概要
タスク説明+評価指標+データ+研究アイデア

LLM がコードを書き換え(mutation)

サンドボックスで実行・採点

PUCT ツリー探索
PUCTᵢ = rᵢ + c_puct·E(i)(c_puct=1)

最良候補を選択(300〜1000 ノードで飽和)
LLM × Flat-UCB Tree Search
全ノードから直接サンプリング(AlphaZeroと違いrootから再帰しない)

idea injection(論文要約をプロンプト注入)+ recombination(成功実装の組換え)で外部知見を探索的に統合。

③ 計算化学パイプラインへの応用
  • lib/molgen: MolgenYamlスコアラー/制約とJobManagerをERA型メタ最適化。生成戦略を自動探索
  • lib/docking: UniDockRunner/ProLIFCalculator設定をenrichment(AUC/EF)で進化
  • lib/fep: MMGBSAEngineのスコア関数を実測ΔΔG相関で自動チューニング
  • lib/md: RMSDAnalyzer/HBondAnalyzerの後処理をhill-climbingで自動更新
実装ギャップ: LLMコード変異・サンドボックス採点・PUCT探索・idea injection が既存libに未実装
④ 主な結果 (a) scRNA-seqバッチ統合
40 首位更新手法 44% recomb両親超 +14% BBKNN(TS) OpenProblems v2.0.0 (87手法中)

87手法中40がリーダーボード首位を更新。最良BBKNN(TS)はComBat比14%改善し11/13指標で同等以上(保留1,747,937細胞で評価)。

④ 主な結果 (b) COVID-19入院予測 WIS
29 CDCアンサンブル 26 ERA (Google) 0 30 平均WIS(低いほど良い)

平均WIS 26 で公式CovidHubアンサンブル(29)を上回る。計14戦略がアンサンブル超え(recomb10・DeepResearch2・co-scientist1・複製1)。

④ 主な結果 (c) ベンチ横断 & Best-of-N比較

Kaggle 16競技でERAは単一LLM・best-of-1000・AIDEを上回り、GIFT-Eval/地理空間/全脳神経活動/数値積分でも専門家レベル。

0.734
GIFT-Eval unified MASE(基本libのみ, 0.82→0.77→0.734)
ERA > BoN
5 LLM 全てでツリー探索が best-of-1000 を上回る(Table 1)
例: Gemini2.5Flash 疫学WIS 106.55→93.07 / GPT-5 78.04→74.55

→ 単純な多数生成ではなく探索そのものが性能の源泉。

⑤ テイクホームメッセージ
  • ソフト作成を「スコア最大化探索」に再定義し、数週間〜数ヶ月の探索を数時間〜数日に短縮
  • 論文要約のプロンプト注入と実装の組換えで、外部研究アイデアを探索的に統合できる
  • scRNA-seq 40手法・COVID 14モデルが人間最高記録を更新
  • 創薬への移植: スコアラー・docking設定・FEPパラメータの自動最適化に直結
限界: 経験的予測の最適化であり、理論・因果機構を推論する真の科学的発見とは区別が必要。安全性(高度モデルの参入障壁低下)にも留意。