水素結合は薬物-受容体相互作用・膜透過性・溶解性・経口バイオアベイラビリティを左右する中心的な分子間力でありながら、HBD 能(hydrogen bond donating ability)を実験的に定量化する手段はこれまで限られていた。NMR 滴定・IR 振動数解析・ITC は精度を出せるが装置と操作が重く、計算側の代理指標である pKa・PSA・TPSA・HBD カウントは官能基の差を粗くしか拾えない。
→ UV-Vis 滴定だけで HBD 能を Ka として読み取れる「ピラジノンセンサー法」を、薬物関連 79 化合物に適用してデータベースを拡張する。
スルホンアミド NH や アゾール NH は計算 HBD カウントでは「1 個」と単純に数えられるが、実測では脂肪族 OH と比べ明確に強い HBDとして振る舞う。
電子求引性 (EWG) と HBD 強度はおおむね単調増加。インドール骨格内の 5 位置換だけで HBD 能が一段階以上動き、計算 HBD カウントでは見えない設計余地が広い。
計算 pKa は弱→強の順序はおよそ合うが、同一 pKa の異性体間で実測 log Kₐ が大きく散る領域があり、ここを実測値で埋めることに本論文の価値がある。
| カテゴリ | 例 | n(概算) |
|---|---|---|
| 5員環ヘテロ環 NH | ピロール / インドール / イミダゾール / トリアゾール | ~22 |
| 5員環 ヘテロ環 (CH/O/S) | フラン / チオフェン / オキサゾール | ~12 |
| 6員環 N ヘテロ環 | ピリジン誘導体・関連 | ~10 |
| スルホンアミド NH | aryl-SO₂NH-R | ~8 |
| フェノール OH | 置換フェノール (EDG/EWG) | ~10 |
| 脂肪族 OH / NH | アルコール・アミン | ~17 |
| 合計 | 79 化合物 | |
同一手法・同一条件で取得されているため、官能基間の横串比較が可能。スルホンアミド NH は計算 HBD カウント=1 と扱われがちだが、実測では強 HBD 群に属する。
log Kₐ を重み付けし、単純カウントでなく強度加重スコアへ拡張