Design and Implementation of a HTE Platform to Accelerate Drug Discovery
Dombrowski, Aguirre, Wang — AbbVie Discovery Chemistry | J. Med. Chem. 2025, 68, 21999–22008 | DOI: 10.1021/acs.jmedchem.5c00814
🧪 ChemBeadsで固体試薬1μmol分注を実現 → 5年・800+スクリーンのHTE実績
C−N/Suzuki/C−O各結合のトップ条件を大規模データ解析で開示
① 背景と課題

HTEはプロセスケミストリーで10年以上活用されてきたが、メディシナルケミストリーでは材料制約(mg)とターンアラウンド(数日)の壁があった。特に固体試薬(無機塩基・金属触媒)の均一な自動分注が技術的難題で、従来は限られた溶媒・試薬での均質溶液系に限定せざるを得なかった。

800+
スクリーン実施数(2017-2023)
400+
ChemBeads試薬種(内製)
150+
メディシナルケミスト利用者数
固体試薬の自動分注技術がないと条件スコープが溶解性に制約 → ChemBeads発明で解決
② 手法: ChemBeads + プレート設計
固体試薬をガラスビーズにコーティング
↓ ChemSpeed固体自動分注(または手動scoop)
↓ 1μmolスケール(約1mg制限試薬)
↓ 多様性重視の約70条件/プレート
↓ uHPLC-MS分析(2日TAT目標)
↓ Katalyst D2Dで一元管理・DB格納

マトリックスアプローチ(全組み合わせ)ではなく「curated diverse set」で限られた材料を最大活用。2017年〜条件セットを継続的に更新・最適化。

③ 本研究で示したこと
  • ChemBeadsで固体試薬含む多様な条件を均一1μmolスケールで分注可能に
  • 5年間800+スクリーンから各変換のトップ条件を統計的に同定・開示
  • 条件の継続更新が重要 — 新条件なしなら10%のC−Nスクリーンが失敗
  • データ駆動型条件レコメンドで年間スクリーン数が160→100に削減
  • LiHMDSが5員環ヘテロ環C−N結合で特異的有効性を示す(大規模データ初確認)
④ 主な結果 (a) 変換反応別成功率と新規条件の貢献
変換別 成功率(%)と新規条件貢献率 0 25 50 75 78% 38% 67% 27% 55% 1% Suzuki (208 req.) C−N (313 req.) C−O (77 req.) 成功率 新規条件貢献 期間別 成功率の推移(早期→後期) 0 50 100 77% 82% Suzuki +5% 67% 67% C−N ±0% 60% 51% C−O −9%
④ 主な結果 (b) Suzuki結合トップ条件 (Top-5)
Suzuki トップ条件のTop-1回数 0 4 8 12 P(tBu)3 G3·K3PO4 12 PdCl2(dtbpf)·K3PO4 10 XPhos G3·K3PO4 9 PdCl2(dtbpf)·Cs2CO3 7 CataCXium A G3·Cs2CO3 5
触媒塩基Top-1回数
PdCl2(dtbpf)K3PO410
P(tBu)3 Pd G3K3PO412
XPhos Pd G3K3PO49
PdCl2(dtbpf)Cs2CO37
CataCXium A Pd G3Cs2CO35

dioxane/H2O(4:1)が全トップ条件で共通。PdCl2(dtbpf)が最汎用触媒。

④ 主な結果 (c) C−N結合トップ条件 (Top-5)
C−N トップ条件のTop-1回数 0 3.3 6.7 10 RuPhos G3·LiHMDS 10 BrettPhos G3·Cs2CO3 10 BrettPhos G3·LiHMDS 8 Pd2(dba)3·LiHMDS 7 BrettPhos G3·Cs2CO3 5
触媒塩基Top-1回数
RuPhos Pd G3LiHMDS10
BrettPhos Pd G3Cs2CO310
BrettPhos Pd G3LiHMDS8
BrettPhos Pd G3Cs2CO35
Pd2(dba)3LiHMDS7

LiHMDSが5員環ヘテロ環ハライドで特異的に有効。BrettPhos Pd G3が最汎用。

④ 主な結果 (d) 未解決の合成困難基質

5年間のHTEでも解決できなかった困難基質

変換困難基質タイプ現状
C−O三置換アルキルアルコール未解決(高温130°C+必要)
C−OPROTAC感受性官能基溶解性・環開環の問題
C−Nα位2置換嵩高いアミン部分的改善のみ
C−NPdキレート形成アミド/尿素チャレンジング
Suzukiチオフェン/チアゾール/トリアゾール基質依存で困難
反応定量の業界標準未確立(UV面積比の問題)が全ての比較・ML活用の障壁
⑤ テイクホームメッセージ
  • ChemBeads + curated diverse setで固体試薬含む多様な条件を1μmolスケールでHTE可能に
  • 条件の継続更新が命 — 新条件なしなら10%のスクリーンが失敗していた
  • データ駆動レコメンドで年間スクリーン数を160→100に削減(時間・材料を節約)
  • C−O結合(55%)が最大の未解決課題。三置換アルキルアルコールは特に困難
  • 将来: BO + ML条件レコメンドモデルで必要スクリーン数をさらに削減
⑤ ケムインフォ加速提案(計算化学視点)

lib/docking: 基質SMILES + 反応タイプ → GNN収率予測モデルを学習し、UniDockRunnerのポストフィルタに「合成可能性スコア」として追加。BO連携でアクティブラーニング的条件最適化ループを実装。

lib/molgen: 困難基質SMARTS(三置換アルキルアルコール・嵩高いアミン・チオフェン等)をMolgenYamlのsynthesis_constraintフィールドとして定義し、生成段階で合成困難化合物を排除。BrettPhos Pd G3条件セットをreaction_context情報として組み込む。

未実装: 収率予測GNN・合成困難SMARTSフィルタ・BO条件最適化ループ