AlphaFold + Focused Virtual Library → Novel CCR2/CCR5 Intracellular Allosteric Antagonists
ピラジニルスルホンアミドスキャフォールドで未開拓GPCRアロステリック部位に挑む(J. Chem. Inf. Model. 2025, Essa & Šícho et al.)
🎯 実験構造のないCCR5にAlphaFold+MD精密化を適用し、計算→合成→評価の1サイクルでμMヒットを同定
① 背景:なぜ細胞内アロステリック部位か?

CCR2・CCR5は免疫病理・がんに関わる重要GPCR。細胞外オーソステリック部位への拮抗薬研究は豊富だが、細胞内アロステリック部位(ICB)は:

  • 内因性ケモカインとの競合なし → 高濃度ケモカイン環境での優位性
  • Val/Leu 6.36位の単一残基差が選択性制御の鍵
  • CCR5の結晶構造なし → AlphaFold活用が鍵
先行研究でのICBへのSBVS応用は皆無 — 本研究が初の試み
② ワークフロー概要
Step 1: 受容体構築
AlphaFold CCR5モデル (UniProt A0A089G6S6)
+ CCR2結晶構造(5T1A)でロータマー修正 (PyMol)

Step 2: MD精密化
膜埋め込みシステム + Desmond 100 ns × 3 replica
→ 87.90 nsスナップショットをドッキング受容体に

Step 3: フォーカスドライブラリ生成
CP2スキャフォールド + ZINC15 BBs → RDKit仮想反応
+ Dimorphite-DL プロトネーション (pH 6.0-7.2)

Step 4: AutoDock Vina VS
exhaustiveness=8, seed=42 → LUF8071(9)同定

Step 5: 合成・評価
18誘導体 → CCR2放射性リガンド結合 / CCR5 β-アレスチンアッセイ
③ 結合ポケット解析

CCR2(5T1A)とCCR5(AlphaFold+MD)の内腔ポケット比較

残基(BW番号)CCR2CCR5役割
6.36×36Val244Leu236選択性の鍵
8.48Glu302Glu302HB acceptor
8.49Lys303Lys303HB donor
8.50Phe304Phe304疎水性

→ 6.36位だけが異なる → Val(小)/Leu(大)への差を利用した選択的リガンド設計が可能

④ 生物活性結果
化合物CCR2 Ki (μM)CCR5 IC50 (μM)
CP2(出発点)~7.9 (pIC50 6.1)
LUF8071 (9)~3測定中
ベストCCR2ヒット1.3
ベストCCR5ヒット10.8
3 + 1
CCR2ヒット(Ki 1.3-6μM) + CCR5ヒット(IC50 10.8μM)
④ 重要なSAR知見
  • スルホンアミドのN-H → Glu8.48へのHBが必須アンカー
  • ピラジン環の芳香族スタッキング → Phe8.50との疎水性相互作用
  • 脂溶性サブポケット(Leu69/Leu122/Ile237)への延伸で活性改善余地あり
  • 6.36位Val/Leu差を利用した嵩高い置換基による選択性獲得が設計指針
低分子量スキャフォールド(MW < 400)のため透過性良好だが、さらなるリード最適化が必要
⑤ 限界点
AlphaFold受容体のサイドチェイン精度に固有の不確実性
活性は低μM域 — リード最適化のさらなるサイクルが必要
CCR5の結合親和性(Ki)データなし — CCR2との定量比較困難
スキャフォールド固定 → 化学的多様性に限界

コード・データはZenodo公開済 ✓

⑥ テイクホームメッセージ
🤖 AlphaFold + MDで「仮想結晶構造」
実験構造のないCCR5に対し、MD安定化により信頼性の高いSBVS受容体を構築する実用的プロトコルを確立。
🧪 フォーカスドVSの有効性
全体が数百〜数千規模の焦点絞り込みライブラリを全量スクリーニングし、1サイクルでμMヒットを達成。
🔑 選択性の単残基設計原則
CCR2/CCR5の差は6.36位の1残基のみ。嵩高い置換基でこの部位を識別するシンプルかつ強力な設計ルール。
📦 完全再現可能ワークフロー
ライブラリ生成 → ドッキングの全コード・データをZenodo公開。フォーカスドVS標準プロトコルとして利用可能。
ケムインフォマティクスへの応用
適用先ユースケース
lib/dockingAlphaFold + MD受容体prepをUniDockRunnerに統合
lib/dockingSMARTS反応ベースのフォーカスドライブラリ生成モジュール
lib/molgenMolgenYamlへの選択性制御スコアラー統合

GPCRアロステリック部位への適用範囲をオーソステリック部位超に拡張できる