The Statistical Software Revolution in Pharmaceutical Development: Challenges and Opportunities in Open Source
Sabanés Bové et al. (12名, 製薬×大学横断) | Drug Discovery Today, 2026年1月 | DOI: 10.1016/j.drudis.2026.104613
🎯 製薬統計が商用SASからRオープンソースへ移行する中、製薬グレードの検証済みパッケージ群(rbmi・rpact等)とopenstatswareコンソーシアムが持続可能性を担保する実態を整理する。
① 背景と課題

臨床試験統計の新手法(MMRM・ベイズ適応デザイン・GSD等)実装ニーズが高まる中、商用SASからR/Pythonへのシフトが加速。規制当局承認申請でのOSSバリデーション体制構築が急務。

OSSパッケージは属人的ボランティアメンテナンス依存——離職でプロジェクト消滅リスク
FDA/EMAへの申請には商用SASと同等のバリデーション文書化が必要
Rパッケージのバージョン管理とLTS体制は商用SASより弱い

→ openstatswareコンソーシアムが複数企業間でメンテナンスを分担する解決策を提示

② 手法: 主要Rパッケージ群
パッケージ機能規制対応
rbmiMMRM(ICH E9(R1)準拠)申請利用実績あり
crmPackベイズ用量漸増(CRM)Phase 1試験
rpact群逐次適応デザイン(GSD)中間解析
bonsaiforestRF部分集団解析バイオマーカー
tern/rtables規制提出用TLF自動生成申請文書
② 手法: openstatsware コンソーシアム
openstatsware 組織モデル openstats ware 製薬企業 A 製薬企業 B 大学 C 大学 D
③ 本研究で示したこと(要点)
  • rbmi・rpact等の検証済みRパッケージが実際のFDA申請に使われ始めている
  • openstatswareコンソーシアムが組織横断メンテナンスで持続可能性問題を解決
  • validation vignettesでICH/FDA準拠の動作確認文書化を標準化
  • 製薬統計のSAS→R移行は規制レベルで承認されるフェーズに到達
④ 主な結果 (a) SAS vs R/Python 現状比較
観点商用SASR/OSS
規制実績◎(長年の標準)△→◎(増加中)
新手法対応遅い(ベンダー依存)◎(即時実装可能)
バリデーション◎(商用サポート)要自社整備
コスト高(ライセンス料)無料
LTS△(コンソーシアムで改善)
④ 主な結果 (b) パッケージ利用数推移(概念)
製薬OSS統計パッケージ採用数(概念) 2021 2022 2023 2024 2025 2026→
④ 主な結果 (c) バリデーション要件
Validation Vignette
ICH/FDA準拠の規制シナリオでの動作確認文書(商用SASと同等)
CRAN単体テスト
標準テストに加え製薬グレードの追加テストスイートが必要
LTS体制
openstatswareが複数企業でメンテナンスを分担し長期サポートを担保
④ 主な結果 (d) 計算化学への示唆
規制対応品質文書化
lib/fep・lib/dockingをFDA Modernization Act 3.0対応の計算NAMsとして文書化する際の参考
MMRM統計の応用
FEP/MM-GBSAの複数レプリカ間ばらつき評価への統計的厳密性向上
⑤ テイクホームメッセージ
製薬統計のOSS移行は規制認定フェーズへ
SASからRへのシフトは不可逆。rbmi・rpactが実際のFDA申請に使われている現実
コンソーシアムモデルがOSSの持続可能性解決策
openstatswareの企業横断メンテナンスは、lib全体の長期保守体制設計の参考になる
計算ツールにも「Validation Vignette」が必要
FDA Act 3.0対応でlib/docking・lib/fepの規制グレード品質文書化が今後重要性を増す
Pythonへの移行コストに注意
Rエコシステムで蓄積された知見のPython移植コストが高い——lib開発はPythonで完結させ相互運用性を設計する
主要パッケージとOSSリソース
パッケージURL
rbmicran.r-project.org/package=rbmi
rpactcran.r-project.org/package=rpact
crmPackcran.r-project.org/package=crmPack
bonsaiforestgithub.com/insightsengineering
openstatswarewww.openstatsware.org
本研究のインパクト
  • lib/fepのMMGBSAEngine品質文書化にvalidation vignette方式を採用することを推奨
  • openstatswareコンソーシアム型の組織横断メンテナンスはlib長期保守体制の設計指針になる
  • MMRM統計をFEP複数レプリカのばらつき評価モデルとして統合することで統計的厳密性を向上できる