FragmentScout: Fragment-Based Pharmacophore VS Identifies Potent NSP13 Helicase Inhibitors
XChem結晶フラグメントデータを統合したジョイントファーマコフォアVSで、mMフラグメントからμMヒット13件を発見(J. Comput. Chem. 2025, Doijen & Jacoby et al. / J&J)
🎯 XChem多数フラグメントの結合情報を1クエリに集約し、150万化合物から13件の検証済み抗ウイルスヒットを発見
① 背景と課題

XChem高スループット結晶学的フラグメントスクリーニング(Diamond LightSource)はSARS-CoV-2研究で多数のフラグメントヒットを提供してきたが、mM親和性フラグメントからμM活性リードへの進展が困難な課題が残っていた。従来のアプローチは各フラグメントを独立に扱うため、複数フラグメントが示す結合サイト全体の情報を活用できない。

単一フラグメント構造ベースドッキングでは結合サイトの多様な特徴を反映できない
Glide SPドッキングは特に5'-RNA・Stalk-Zincポケットでヒット率が低い

→ 全フラグメントのファーマコフォア情報をジョイントクエリに統合してSBVSを強化

② FragmentScoutワークフロー
① 51 XChem PDB複合体 → 63フラグメント-モノマー構造
(3D重ね合わせ: 5RL6参照)

② 視覚的クラスタリング → 19結合サイト → 3サイト選択
(nucleotide / 5'-RNA / Stalk-Zinc)

③ LigandScout 4.5でジョイントファーマコフォアクエリ生成
(特徴マージ・補間・除外体積調整)

④ LigandScout XT で150万化合物スクリーニング

⑤ 細胞系+ThermoFluor バリデーションカスケード
② 3結合サイトのファーマコフォアクエリ
ポケットフラグメント数特徴数最小必要特徴
Nucleotide13+ATP227
5'-RNA3129
Stalk-Zinc12157

合計~4348ユニークVSヒットを実験評価に供試(Glide SP含む)

③ 主な成果
  • 13化合物が細胞系+ThermoFluor両方でバリデート
  • SARS-CoV-2 EC50 1.07〜9.31 μM(非毒性)
  • 12/13化合物がSARS-CoV・HCoV-229Eにも広域活性
  • FragmentScoutがGlide SPを上回るヒット率を達成
④ FragmentScout vs Glide SP(結合サイト別)
手法ポケット細胞ヒットTF ヒット最終ヒット
FragmentScoutNucleotide2151
FragmentScout5'-RNA26135
FragmentScoutStalk-Zinc69267
Glide SPNucleotide200
Glide SP5'-RNA531
④ バリデーテッドヒットの活性(代表例)
化合物SARS-CoV-2 EC50HCoV-229E EC50CC50
JNJ-08501.07 μM0.60 μM>25 μM
JNJ-13011.32 μM0.56 μM>25 μM
JNJ-08782.14 μM0.65 μM24.78 μM
JNJ-88153.66 μM2.79 μM>25 μM
④ バリデーションカスケード統計
214
細胞系シングルドーズプライマリヒット(ヒット率4.6%)
13
両アッセイ(細胞系+ThermoFluor)でバリデートされた最終ヒット

ThermoFluor ΔTm ≥ 0.6°C(3σ基準)で46化合物が一次陽性

④ 限界点
LigandScout(商用)依存で独立再現が困難
除外体積特徴の扱いが手動判断を要する(自動化未解決)
化合物構造多様性確保のクラスタリングを未実施
現在J&J社内ライブラリ限定(XChem公開データ活用は可能)
⑤ テイクホームメッセージ
🧩 フラグメント情報を1クエリに統合
サイト内全フラグメントの結合特徴を集約したジョイントクエリで、単一構造ドッキングでは取れない広域情報を活用。
🏆 Glide SPを上回るヒット率
特に5'-RNA・Stalk-Zincポケットでドッキングを明確に上回り、ファーマコフォアVSの優位性を実証。
🌍 広域スペクトル抗コロナウイルス活性
13ヒット中12化合物でSARS-CoV・HCoV-229Eへの活性確認。NSP13高保存性を活かした汎用抗ウイルス探索の有効性を示す。
⛏️ XChem公開データの新活用法
FragalysisやXChem公開データを活用した新たなバーチャルスクリーニングパラダイムを提示。他のXChemターゲットへの展開が期待。
ケムインフォマティクスへの応用
適用先ユースケース
lib/dockingUniDockRunnerにFragmentScout型ジョイントファーマコフォア前フィルタを統合
lib/dockingXChem公開データからの結合サイト自動クラスタリング + クエリ生成
lib/molgenXChemフラグメントのSAR情報をMolgenYamlのスコアラーとして統合

XChem公開データ: fragalysis.diamond.ac.uk

本研究のインパクト
  • XChemフラグメントデータを最大活用するVSパラダイムの提示
  • NSP13 3ポケットに対する13種の広域スペクトル抗ウイルスヒット群の発見
  • lib/dockingへのXChem活用型ファーマコフォアVS統合の具体的設計指針